家を売る流れを解説!手順や段取りは?売却までの期間(時間)についてもご紹介します

家を売る流れ

いざ家を売るとなっても、賢い方ならまずは売却までの流れを把握しておきたいですよね。

実は、家の売却では不動産会社のいいなりになるのではなく、ある程度自分で予備知識を持っておくことは、割と重要です。

ここだけの話…不動産営業マンは、信用ならない人も多いのが事実…!

そこで今回は、元不動産営業マンの僕が、家を売る流れについてご紹介していきたいと思います。

この記事の著者

宅地建物取引士

AO

プロフィール

不動産業界歴約11年(事業用賃貸3年、不動産売買8年)。 宅地建物取引士・ホームインスペクター試験合格・賃貸不動産経営管理士登録・競売不動産取扱責任者試験合格

家を売る全体の流れ

まずは家を売る全体の流れをご覧ください。

家を売る流れ

買取の場合は、かなりショートカットできますが、仲介の方が手順は多いですので、仲介をベースに以下ご紹介していきます。

家を売るのにかかる期間(時間)

家を売るのにかかる時間ですが、まず初めの査定から売却開始までは、約1週間~2週間ぐらい、売却期間は、物件の引き合いなどにより変わりますが、早くても3ヶ月くらいはかかります。

契約後、引渡・決済までは一般的には1ヵ月~2ヵ月くらいかかります。

時間の目安
媒介契約の締結1週間~2週間
売却活動1ヶ月~1年
契約1週間
決済・引き渡し1ヶ月~2ヶ月

契約後に住宅ローンの審査や測量を行う場合には手続きの時間が必要になるので、3ヵ月くらいかかる場合もあります。

具体的な家を売る流れと手順・段取り

ここからは、具体的に家を売る流れをご紹介していきます。

1、不動産査定の依頼

まずは、不動産会社に家の査定を依頼します。

査定依頼前に、自分の家がいくらくらいで売れるのか周辺価格の相場を調べておいてください。

査定依頼は一括査定サイトを活用して、複数の不動産会社へ査定を依頼するか、直接不動産会社に問い合わせて査定をしてもらうという2種類の方法があります。

  • 一括査定サイトで複数の不動産会社へ依頼する
  • 直接不動産会社に問い合わせて査定を依頼する

どこの不動産会社に頼むべきかという事については、↓こちらの記事をご参照ください。

関連記事:家の査定はどこに頼む?元不動産屋が教えるおすすめの査定方法

一括査定サイト

一括査定サイトを使うメリット

一括で複数の不動産会社に簡単に依頼できる

不動産会社の方から連絡をしてきてくれる

複数の不動産会社を比較できる

不動産の知識が増えて勉強になる

一括査定サイトを使うデメリット

査定額に開きがあるのでどの価格が正しいのかわかりずらい

一括査定サイトに登録している業者にか査定が依頼できない

しつこい営業電話がかかってくる場合がある

地域によっては対応してくれない会社もある

直接不動産会社に依頼

直接不動産会社に査定を依頼するメリット

自分が連絡した不動産会社のみとやり取りできる

直接依頼の方が不動産会社からの反応はいい

直接不動産会社に査定を依頼するデメリット

自分で各社へ依頼する必要がある

査定の注意ポイント

査定価格=売却価格ではない

という事を理解しておいてください。

査定価格は、不動産会社が過去の取引事例や、築年数、現在の周辺価格、等の情報を基に各社個別で算出しています。

なので、査定してもらった不動産会社との間の価格が、数百万円単位でのズレがあると思いますが、安易に一番査定額が高い不動産会社へ依頼すればいいというワケではありません。

結局のところ、売却活動を依頼しても、売れなければ意味がないので、

不動産会社選びは、信頼のおける不動産会社を選ぶ

というのが一番です。

査定をしてもらう担当者で選ぶというのも一つの手ですが、どこの不動産会社にも『売れる担当者』『売れない担当者』というのはいるものです。

『大丈夫かなこの担当者…』と思ったとしても、不動産会社自体に実績があれば、しっかりと販売はできます。

※ただし、あまりにも担当者が信頼できないと思えるならその不動産会社はやめておいた方がいいでしょう。

査定してもらった不動産会社が販売する家のエリアで

  • 過去にどれくらの販売実績があるのか
  • どれくらいの価格帯で販売できているのか

など、その不動産会社がどれくらいの実績を持っているかは聞いておきましょう。

関連記事:家の査定はどこに頼む?元不動産屋が教えるおすすめの査定方法

2、媒介契約の締結

段取り:購入時の建物に関する資料(売買契約書、重要事項説明書、建物図面、確認済証、検査済証等、測量図)、権利証、身分証明書などを用意する

家を販売してもらう不動産会社が決まったら、その不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約は3種類あり、

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

となっています。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数の不動産
会社に依頼
依頼できる一社のみ一社のみ
自分で買主を
見つけた場合
契約できる契約できる不動産会社を
仲介に入れる
レインズ
への登録
任意7日以内に登録5日以内に登録
報告書定めなし2週間に1回以上1週間に1回以上
契約期間定めなし3ヶ月以内3ヶ月以内

上の表を見て頂いてわかる通り、右に行くほど、売主の規制が厳しくなり、不動産会社に課せられる義務も大きくなります。

一般的な不動産会社であれば、『専任媒介契約』を薦めてくると思います。

媒介契約の形態は、一社に販売をまかせる『専任媒介契約』がおすすめです。

なぜなら、一般媒介契約、専属専任媒介契約にはあまりメリットが見つからないからです。

一般媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社で取り扱ってもらえるが、専任媒介契約での契約でも窓口が1社となるだけで、レインズ(不動産流通機構)に登録はされるので、どの不動産会社も購入希望者には紹介できる

専属専任媒介契約

専属選任媒介は、例え買主を見つけても、媒介契約をした不動産会社を仲介に入れなければならない

不動産会社の報告が1週間に1回以上(不動産会社としても手間)

専任媒介契約と一般媒介契約の違いは、窓口が1社になるか、複数社になるかの違いです。

一見、一般媒介契約の方が、広く買主を募集しているように見えるかもしれませんが、専任契約を結ぶと、不動産会社はレインズ(不動産流通機構)というシステムに登録しなければいけません。

レインズ(不動産流通機構)

不動産会社が他社の物件を紹介する為に閲覧する、不動産会社専用のデーターベースです。

専任・専属選任の場合は、必ず登録が必要になります。登録すると登録証明書が発行されるので、不動産会社からもらっておきましょう!

※登録証明書を渡さない適当な不動産会社は、注意した方がいいです。

普通の不動産会社は購入希望者が来店したらレインズを見て物件を紹介しているので、どの不動産会社もあなたの物件を紹介してくれるので、本質的には、一般媒介契約も専任媒介契約も変わりません。

ただ、不動産の仲介手数料は、成約報酬なので、契約できなければ、不動産会社には報酬は入りません。

一般媒介契約だと、『他の不動産会社で決まってしまうとただ働きになってしまう』という心理が働きますし、売主への報告義務もないので、チラシを出したり、ポスティングしたりという積極的な売却活動を行ってくれないのが現状です。

ゆえに、一般媒介契約は、専任媒介契約よりもデメリットが大きいのです。

専任媒介契約の方が、不動産会社は頑張って販売活動をしてくれるので、不動産会社も専任媒介契約を提案しますし、お客さんにもメリットが大きいです。

ホームインスペクション(建物状況調査)

将来的に中古住宅市場が大きくなっていくと予測される不動産業界では、法改正が行われ、

  • 媒介契約時に建物状況調査を斡旋したかどうかの明示
  • 重要事項説明書で建物状況調査を実施したかの明示

が追加されました。

ホームインスペクションは、建物の傾きや、基礎や外壁の亀裂、雨漏りがないかを調べて、その建物のコンディションがどんな状態か、目視と計測で行う調査です。

家を売る時にこういった調査を行うことで、購入希望者の不安や疑念を取り払い、後々のトラブルを避ける事ができるというメリットがあります。

ただし、5万円~6万円程度の費用が発生しますので、現在の段階では、必ずやらなければいけないというワケではなく、あくまで任意のものです。

大手不動産会社のオプションとして利用できたり、ホームインスペクションが行える住宅診断士を自社で抱えている不動産会社もありますので、気になる方は相談してみるといいでしょう。

3、売却活動の開始

媒介契約を締結したら、不動産会社が売却活動を開始します。

来店したお客さんへの物件の紹介や、インターネット広告、ポスティング等により購入希望者を見つけます。

段取り:内見の準備(※居住中のまま販売するときは綺麗にしておく)

具体的に中を見たいというお客さんが現れると、内見を行います。

住んでいながら家を売る場合は、なるべく掃除を行い、雑然とものが置かれていないようにして、印象が良くなるように綺麗にしておきましょう。

測量

段取り:測量費用の用意

家を売る場合は、基本的には確定測量を行います。

隣地や道路との境界が間違いないことを確認し、境界を確認したことがわかる書類に印鑑を押してもらい、購入者に引き渡します。

その時に、越境物がないかなど確認します。

契約の前に行う事もあれば、契約後に行うこともあります。

一般的には、手付金や売ったお金から支払うことが多いので、契約後に行うことが多いですが、どちらにしても測量は必要なので、先に費用を支払っても問題ないという場合は、契約前に行います。

4,購入申し込み

具体的に買いたいという購入希望者が現れると、不動産会社は購入希望者から買付申込書という、この不動産を購入したい旨の申込書を書いてもらいます。

この時に、一般的に行われるのが金額交渉と、引渡条件等です。

例えば、

  • 金額を50万円割引してほしい
  • 住宅ローン特約の有無
  • エアコンと冷蔵庫は残していってほしい等

買付申込書はあくまで、購入希望者が『この条件だったら買いたい!』という理想の金額や条件定時なので、買付申込書=物件の購入ではありません。

条件をのむかどうかの判断については、人それぞれなので、不動産会社の担当者と相談しながら進めるといいでしょう。

5、売買契約の締結

お互いに購入金額や条件で合意ができれば、いよいよ売買契約をお互いに取り交わすことになります。

段取り:実印、印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)、本人確認書類(運転免許証)、収入印紙(不動産会社が用意する場合は、現金を用意)、仲介手数料の半金、権利証(登記識別情報通知)、固定資産税通知書を用意

お互いに顔を突き合わせて契約する事もあれば、都合があわなければ、持ち回りと言って、別々に契約書にサインを行う事もあります。

契約内容の説明が不動産会社から説明されるので、分からないことがあれば質問して理解しておきましょう。

  • 重要事項説明書
  • 売買契約書
  • 建物状況報告書(設備などの状況を報告)
  • 物件状況報告書(雨漏り、事件、騒音、越境etc…)

状況報告書については、事前に不動産会社からの聞き取りがあると思いますが、虚偽の報告をすれば後々トラブルになりますので、ありのままに誠実に報告します。

手付金を買主から受領し、通常であれば、仲介手数料の半金を不動産会社に支払います。

住宅ローン特約付きの契約で、買主が住宅ローンを借りて家の購入を行う場合は、契約後に本審査を行います。

本審査の期間は、金融機関によっても異なりますが、1週間~2週間程度です。

住宅ローン特約とは

買主が住宅ローンの借入が出来なかった場合は、手付金を返還し、無条件で契約を解除できるという特約です。

また、確定測量を行っていない場合は、このタイミングで、確定測量を行います。

確定測量は、1ヵ月~2ヵ月程度かかります。

建物の解体(更地渡しの場合)

建物を解体更地渡しで販売する場合は、売却活動期間か、このタイミングで解体する事が多いです。

築年数が経過して、建物が老朽化している場合は、あらかじめ建物を解体しておく方が、購入者が見つかりやすいです。

解体更地渡しとして販売するのは、あまりおすすめできません。

解体更地渡しは、契約後に売主側で建物を解体するというものですが、解体工事はトラブルが多く、余計に時間とお金がとられる可能性もあります。

現状渡しとして販売するか、先に解体しておく、又は解体費用分値引きするので、現状渡しで、引き渡し後に買主側で行なってもらうのがおすすめです。

片付け・引越し

契約が終わったら家を引き渡すために中のものを全て片付けなければなりません。

基本的には、中のものを全てからにして引渡をしなければいけません。

既に次の住居がでの見通しができていればいいですが、契約~引渡の期間にもよりますが、予め引越し先を見つけておかなければなりません。

この辺りは、契約の前段階で不動産会社に相談してみるといいでしょう。

引越しの為に家の引渡までの期間を伸ばすことを契約内容に盛り込むことも可能です。

注意ポイント

既に引越し先が決まっている場合でも、販売する家の名義人になっている場合は、住所変更をしてはいけません。

決済・引渡の際に、住民票を持参しますが、確認書類と登記の住所が変わっていると余分に費用がかかります。

関連記事:引越し【一括見積もり】はヤバイ?危険な理由と回避する為の対処法

6、決済・引き渡し

お金を支払う準備と、家を引き渡す準備が出来たら、決済・引渡を行います。

段取り:実印、鍵一式の準備、本人確認書類(運転免許証等)、権利証(登記識別情報通知)、住民票(3ヶ月以内のもの)、通帳・銀行印、仲介手数料、登記費用(司法書士への報酬)、買主に引き継ぐ資料

決済は基本的には、買主がお金を支払う金融機関の応接室等で行われます。

不動産会社間の売買や、金額が少額であれば、不動産会社の事務所で行う事もあります。

ただし、金額が大きくなれば、数える手間もありますし、そもそも融資を受ける場合は、全ての手続きが終わった後に融資実行が行われ、お金が振り込まれます。

決済は、司法書士も同席し、まず本人確認を行い、登記に必要な書類に署名捺印を行います。

その後お金のやり取りをして、引渡書類の記載と鍵の引き渡しを行い、完了となります。

必要書類を忘れると、出席者をまたせることにもなりますので、忘れないように注意しましょう。

7、確定申告

家を売る事で20万円以上の利益が出たら、確定申告が必要です。

家を売って出た利益の事を譲渡所得と呼びますが、譲渡所得税がかかります。

譲渡所得の計算方法は、

譲渡所得=譲渡価格(売却価格)-[取得費用(購入価格)+譲渡費用]-控除額

となります。

取得費用について

取得費用は、売却した土地や家の購入した時の代金や、建築した時の建築代金などです。建物の取得費用は、減価償却費相当額を差し引いたものになります。詳しくはこちら→ 国税庁 取得費となるもの

控除額について

マイホームを売却する場合は、譲渡所得から3,000万円控除できる『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』というものがあります。詳しくはこちら→ 国税庁 マイホームを売った時の特例

譲渡所得税は、所有期間で税率が変わります。

詳細は、税理士か、管轄の税務署でも相談を受け付けてくれます。

8、補足:買取の場合

最後に補足で、家を売る場合に、仲介で不動産会社にお願いするのではなく、不動産会社が直接買取る場合についてご紹介しておきます。

上記でご紹介した仲介だと、媒介契約の締結~決済・引き渡しまで、早くても2~3ヵ月係るのが一般的ですが、不動産会社が直接買い取りをしてくれれば、売却活動でお客さんを見つけてくる必要が無い為、決済までの時間は早いです。

一般的に買取金額は、市場流通価格の2割引き~3割引きぐらいが相場です。

『金額が安くなってしまってもいいので、早く換金したい!』という方は、不動産会社に打診してみた方がいいです。

不動産会社によっても買取対応エリアなどが異なるので、断られる事もありますが、立地条件などが良くて、買取をよく行っている不動産会社であれば、不動産会社での買取で家を売る事が可能です。

家を売る流れと手順や段取り|まとめ

家を売る場合の流れと手順や段取りについてご紹介してきました。

家を売る流れを再度復習しておくと、

  • 不動産査定の依頼
  • 媒介契約の締結
  • 売却活動の開始
  • 売買契約の締結
  • 決済・引き渡し
  • 確定申告

という流れになっています。

まず最初の不動産査定で、どこに頼んだらいいか迷うと思いますが、査定の際の不動産会社選びについては、こちらの記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。

基本的に当サイトでは、最低でも2社以上の不動産会社での査定をおすすめしています。

できれば、3社へ査定を依頼するというのが望ましいです。

1社では、どの不動産会社がいいか、判断をつけるのは難しいです。

5~6社の不動産会社とのやり取りが平気な方

 → 一括査定サイト(※大手不動産会社は査定に含める)

2~3社自分で選びたい方

 → 大手、中堅、小さな地元の不動産会社へ査定を依頼

1社へしか連絡したくない方

 → 大手不動産会社に査定を依頼しておけば間違いないです

是非参考にしてみてください。

家を売る準備
Preparation

家を売る前の予備知識として、家が売れるまでの流れや、必要書類、家を売るベストなタイミングや、やってはいけないことなど、家を売る準備に関する記事のご紹介です。

諸経費
Money

家を売る時には、諸経費がかかります。売却時の諸経費や、不動産手数料についての記事のご紹介です。

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